
何を隠そう(?)日本文学部出身だ。何を血迷ってそんな所に入ったのか自分でも不明だけれど、「古事記」やら「万葉集」やらを勉強していたある日、「4年間もこんなことやってられるかっ」とついに爆発。3年間で全ての単位を取って、4年目はUKロックの卒論を書いてやれっと無茶な決意をした。
はたして、日本文学部に属しているのにUKロックの卒論などが認められるかどうか。考えに考え抜いて提出した卒論テーマが以下のようなものだった。
卒論タイトル:「屈折する星くずたち」
卒論テーマ:「UKロックについて」
動機;「日本文学をテーマにしたからといって、日本文学が分かるとは限らない。全く違うUKロックをやることで、日本文学で学んだことをぶつけたい」
こんなアホなへ理屈が通るとは思わなかったけれど、何と通ってしまった。というか、許してくれる仏様のような教授を選んだ。
この教授の授業は理解不能なことで有名だ。すごく熱弁されているのだけれど、何を言ってるのか全くもってチンプンカンプン。最初は30人くらいいた教室も中頃には5、6人に。ある日、教授が言った。
教授「今日は少ないねぇ」
・・・いつも少ないじゃん。
教授「ちょっと教授室に行って一杯やろうか。」
・・・は?
教授「いい酒が手に入ったから」
あのう・・・、次の授業、試験なんですけど・・・。
という訳で赤ら顔でぐるぐる周りながら次の試験を受けた。
肝心のこの教授の授業の試験はどうなったかというと・・・。
答案に正直に書くことに。
「授業のことはよく分かりませんでしたが、先生と授業中に飲んだことは一生の思い出です。」
単位をくれました。ありがとうございます。
このようにいいかげんな・・・、いや、寛大な教授なので許されると思った次第。
という訳で今回は、僕と同じようにUKロックを卒論にしようと思ってる人に(いないか)オススメの映画を紹介します。
「LIVE FOREVER」(2002 英)
いわゆる90年代ブリット・ポップをリアルタイムに体感した人、あるいは体感したい人にはかなり刺さる映画のはずだ。ちなみに僕は連続して4回も見てしまった。
特にオアシス対ブラーに焦点を当てている。僕がどっち派かと言うと、どっち派でもなかったり。音楽的にはオアシス、ファッション的にはブラー、って具合。
この映画では、オアシスのギャラガー兄弟、ブラーのデーモン、パルプのジャーヴィス、マッシブ・アタックの3D、その他音楽業界の関係者を軸に当時を回想していく。
デーモンやジャーヴィスが「当時私はアホでした」的回想をしているのに対し、ノエル・ギャラガーは今だに自分が労働者階級出身であることに固執。なぜか王様のような椅子にふんぞり返り、「デーモンとは違い自分は土木作業とかしたから魂が純粋なんだ」とのたまう。挙げ句の果てに正装してブレア首相と面会、「尊敬してる」とまで言う始末。
それに比べて、リアム・ギャラガーには改めて天性の魅力を感じた。ノエルだけ招待されたブレアとの面会に関しても、「あんなクソみたいな建物に用はねぇ」と一蹴。(自分だけ招待されてないのでムクれてるだけじゃないかという気もするけれど・・・)
インタビュアーの「偉大なロックバンドの条件は?」の質問に対し、普通なら「音楽を愛すること」とか「続けること」とか凡人を励ます返答が帰ってくるところだけれど、
「才能。俺らを見習え。分かったか?」
はい、分かりました。こんな身もふたもない答えも、この男だけに許されるのかも。
それにしてもoasisというのは不思議なバンドだ。僕はブリット・ポップ全盛の頃、全くブームとは関係ない所で鳴り響いていたレディオヘッドに心を奪われていた。にもかかわらず、「俺らのバンド」と言って真っ先に思いつくのはoasisだ。きっと、リアムの声に素通り出来ない吸引力を感じるのと、ノエルのメロディーに不思議なノスタルジーを感じるからかもしれない。
今月はベスト盤も出たことだし、改めてoasisを聴いている。何だか、当時よりも今の方が胸に染み渡る。
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風の便りに、あの仏様のような教授が亡くなったという知らせを耳にした。本当に仏様になってしまった。
(冗談みたいに書いたけれど、実は"広辞苑"の後ろの方にも名前が載ってる偉大な方です)
oasisを聴きながら、当時の記憶が蘇り何とも言えない切なさがこみ上げてくる。
「Rock 'N' Roll Star」を聴いた時の興奮。
「Supersonic」を聴いた時の高揚。
「Whatever」を聴いた時の衝撃。
grayの「However」を聴いた時の笑撃。
「Hello」を聴いた時の哀愁。
「Don't Look Back in Anger」を聴いた時の感涙。
「D'You Know What I Mean?」を聴いた時の困惑。
そして、数々のパーソナルなことと、当時自分の周りにいた人々のこと・・・。
「Slide Away」を聴きながら、これから10年、20年経ってからこの曲を聴く時、自分は何処にいて周りには誰がいるのだろう・・・、などと、oasisというバンドは自分の奥にある極めてセンチメンタルな部分を呼び起こす。
完成した自分の未熟な卒論に対し、「こちらが勉強になりました」と手放しで褒めてくれた教授。もう2度と会うことのできない彼に、oasisの「Live Forever」を捧げたい。
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