TOP > UK ROCK etc. > Charlotte Gainsbourg フレンチな倦怠感のススメ

charlotte gainsbourg
「女優」という言葉には、何かしら差異的な意味合いが含まれていると思う。

たとえば女性アイドルが「私はアイドルを辞めて女優になる」と言った場合、職業としてのレベルが上がる印象を与えるかもしれない。
けれど男性アイドルが「俺はアイドルを辞めて俳優になる」と言っても、そこまでの印象を与えるだろうか。

これには女性アイドルの年齢的寿命というのも関係している訳だけれど、「女優」という言葉が人に与える印象は、年齢的、職業的、性別的な優越度が極めて高いのだと思う。
「なまいきシャルロット」を見てシャルロット・ゲンズブールに初めて出逢ったのはずいぶん昔のことだが、衝撃を受けたのを今でも覚えている。

子供ながら飾らない雰囲気、わざとらしさが全く感じられないナチュラルな仕草。彼女がセルジュ・ゲンズブールとジェーン・バーキンの娘だと知ったのは、ずっと後のことだった。(それにしてもバーキンの艶かしさもゲンズブールのオヤジ臭さ(失礼)も引き継がなかったのは突然変異というか奇跡というか)

その存在自体がナチュラルなように、彼女が選ぶ映画もすんなりと入っていけるものが多い。同じフランスの女優でも、たとえばソフィー・マルソーは女優魂を見せるかのごとく今一つな文芸作品に出たり、ジュリー・デルピーもハリウッドに進出して以降あまり作品に恵まれてるとは言えない。

それに比べて、シャルロットが選ぶ映画は全く無理を感じさせないのだ。適度なやる気のなさが心地いい。シャルロットが女優をしているというより、シャルロットが「シャルロット・ゲンズブール」をしているだけなのだ。

そんな彼女が音楽方面で出したアルバム、「5:55」。
20年ぶりというこれまた気ままなスパンで2006年に発売されたが、僕にとってけっこうお気に入りのアルバムである。
プロデューサーにRadioheadでおなじみのナイジェル・ゴドリッチ、作曲にフレンチ・ユニットAir、作詞に元Pulpのジャーヴィス・コッカーというユニークな布陣だ。
音楽的に衝撃を与えるというイノベイティブさはないけれど、彼女の耳元でささやくような歌声を聴いていると、清涼飲料水が体の中に流れていくような快感を味わえる。

世の中にはローテンションの人間とハイテンションの人間がいる。僕はどちらかと言えばローテンションの部類に属するけれど、友達にしろ好きな著名人にしろ圧倒的にローテンションの人間だ。
世の中「根性」とか「やる気」とかいう言葉はプラスイメージに受け止められることが多いが、いつもそれでは疲れてしまう。時には倦怠感に浸るのもいいのではないだろうか。

シャルロット・ゲンズブールが何かをする時、それが女優であれ歌手であれ、そこには「シャルロット・ゲンズブール」という存在がただそこにいる。そして僕らは、そんな彼女の倦怠感に触れることによって、不思議な心地良さを感じることができる。


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