TOP > CINEMA > 「あるいは裏切りという名の犬」 フレンチ・ノワールの品格

36quai des orfevresよく父親と映画を見に行く。
僕はミニシアター系の映画からメジャーどころまで幅広く見るのだけれど、父はベタもの一辺倒でマニアックなものが苦手だ。

父「お前のサイト、マニアック過ぎてさっぱり分からん」

・・・悪うございました。

そんな父が珍しく単館上映作品を勧めてくれたのだけれど、これがなかなかの傑作だった。

「あるいは裏切りという名の犬」
(36 Quai des Orfèvres 2004年)
出演: ダニエル・オートゥイユ, ジェラール・ドパルデュー, ヴァレリア・ゴリノ
正義感あふれる謙虚な男と、出世のことしか頭にない権力主義の男。このよくあるパターンを、フランスの2大オヤジ、もとい2大スターが共演してオヤジフェロモンを、もとい火花を散らし合っている。

正義感の強い刑事レオ(ダニエル・オートゥイユ)と、権力志向の刑事ドニ(ジェラール・ドパルデュー)。
かつては親友で、しかもカミーユという1人の女性を両者が愛した過去を持つ。カミーユが選んだのは実直なレオ、友情は壊れドニはレオに恨みを持つ。
さらに、次期長官の座を狙うドニにとってレオは邪魔な存在。レオを陥れて刑務所送りにしてしまう。
そして獄中の中、レオをさらなる悲劇が襲う。全てを失ったレオはドニへの復讐に出るが・・・。

かなりスピーディにストーリーが進んでいく上余白による伏線が多いので、前半は付いていくのが大変だった。けれど見終わった後は、スカッとした涼感と静かな感動に包まれた。

フランスを代表する名優のダニエル・オートゥイユとジェラール・ドパルデュー。ハリウッドで言えばロバート・デ・ニーロとアル・パチーノと言ったところか。
と思ったらデ・ニーロ制作でリメイクされるらしい。外国映画がヒットするとすぐにハリウッドでリメイクするという最近の傾向。うーん、どうだろう??

フランスの俳優さんというのは、男であれ女であれ年をとっても品がある。
何かを訴えるような目で哀愁に満ちたオートゥイユ。対照的に何も語らぬ目で「ちょいワルオヤジ」ならぬ「極(ごく)ワルオヤジ」を演じているドパルデュー。

一見男の世界だけの映画に見えるけれど、女性もよく描かれていたと思う。
運命のヒロイン、カミーユ役はヴァレリア・ゴリノ。40代らしいけれど魅力的だった。アメリカの女優さんは年を取ると何か人工的な匂いがするのに比べ、ヨーロッパの女優さんはとても天性のナチュラルさ、品の良さを感じる。

本当はオヤジを描いた方がこの映画にはふさわしいのだけれど、この人の色香に惑わされて、もとい絵くらいはオヤジからは離れようと女性のイラストにした。ダンディズムはぜひ映画を見て味わってほしい。

最近は日本でも「暴走老人」などという言葉がある通り、街中で突然キレ出したり、電車の中でブツブツと独り言を言っていたり、お年を召しているにも関わらずアブなそう人を多々見かける。

老若男女問わずこういった品のあるベテラン役者を見て、もっと大人としての品格を身につけてもらいたいところだ。
え?! 「偉そうに言うけどお前はどうなんだ」って?
いや、僕は今だ大人になりたくない万年思春期ヤローなもので。


追記:本作にはミレーヌ・ドモンジョという、かつてブリジット・バルドーと人気を二分した女性が出ている。今回の文章とは矛盾するエピソードになってしまうけれど、うちの父親の暴言で締めくくりたい。

父「俺のアイドルだったのに変わり果てたババアになってた!!」


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「あるいは裏切りという名の犬」(フランス 2004年)

オルフェーヴル河岸36・・・パリ警察のふたりの刑事。 全てに対照的な男たちが人生の折り返し点を迎えて歩む道〜「あるいは裏切りという名の犬」。

『あるいは裏切りという名の犬』(2004 仏)

原題:『36 QUAI DES ORFEVRES』(110分) 監督:オリヴィエ・マルシャル 脚本:オリヴィエ・マルシャル他 共同脚本:ドミニク・ロワゾー 音楽:アクセル・ルノワール 出演:ダニエル・オートゥイユ     ジェラール・ドパルデュー     ヴァレリア・ゴリノ...

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