
2、3年前、一時期ジャズばかり聴いていた時があった。
自分がジャズギターを学んでいたこともある(ただし”なんちゃってジャズ”)のだけれど、初めてジャズを知り、「これこそロックの先にあるものだ! もうロックなど聴けない」などと思い込んでいたのだ。
我ながら浅はかな考えだが、当時はロック・ミュージックに倦怠感を感じていたのもあったのだろう。今ではロックだジャズだと垣根を分けて考えることに意味のなさを感じているけれど、たまには他のジャンルの音楽を聴いてみると新たな発見を見い出せることもあるかと思う。
そこで今回は、UKロック好きの人でも聴きやすい(と思われる)ジャズを紹介したい。
かつてマイルス・デイビスがジャズの世界を制覇したように、現在のジャズ界はパット・メセニーの一人勝ち状態が続いているように思う。彼は音でイメージをヴィジュアル化できるギタリスト。メセニーの奏でるギターを聴くとアメリカの広大な地平線が浮かび、まるで旅行をしているような気分になる。
そしておそらく今後のジャズ界を引っぱっていくであろうピアニスト、ブラッド・メルドー。Radiohead に対し「彼らの音楽はとても他人事だとは思えない。彼らが表現している閉塞感や虚無感は、僕自身が抱えているものだから」と共感を抱き、「Everything in Its Right Place」「Exit Music」「Paranoid Android」「Knives Out」といった曲をカヴァーもしている。
パットの音楽が朝焼けだとすると、メルドーが奏でる音は夕闇。そんな二人が共演してしまう面白さもジャズの世界の醍醐味と言えるだろう。
去年9月29日、鎌倉芸術館でメセニーとメルドーのライブに行った。
2人の卓越したプレイを聴きながら心がトリップすると共に、ふと羨望とも嫉妬心ともとれる何とも言えない複雑な気持ちになった。
おそらく、彼らは子供の頃から人生を捧げるかのごとく楽器の演奏に明け暮れていたのだろう。奏でる音から、それまで生きてきた彼らの人生が迫ってきて僕は圧倒されてしまった。
以前、友人と自分の絵を音楽のジャンルに例えると何か、と話したことがある。美術教育を受けていない僕の拙い絵はその時点では「パンク」が一番近いという話になった。
一見聞こえはいいが、パンクというのは決まって短命だ。センスだけでやっているから広がりに限界がある。だからパンクバンドは決まってNEW WAVEへと移行していくのだろう。
奇しくもメセニーとメルドーの演奏を見て悟ってしまった。
僕は、ジャズにはなれない。
でも、それを目指すのは悪くはないだろう。
だからRadioheadの「In Rainbows」を聴いた時、なんとなく励まされた気になった。つまり、卓越した技術がなくても方法によってはジャズと似たようで違う別の次元へ行けるという可能性を垣間見た気がしたのだ。
あなたが目指すものは何だろう?
それが何にしろ、一つのことに人生を捧げてきた人の演奏を目の当たりにすると、ふと自分の人生について考えさせられることがある。
時には圧倒され打ちひしがれることもあるけれど、彼らが見る地平線を見たいと前進するきっかけをもらえることがある。
いつかジャズになれる日を夢見て。
(・・・まあせめて”なんちゃってジャズ”まではいきたいところだ)
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